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マクマナマン

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卓越したテクニックから広がる宇宙

ルーキーステージの奥の方にある出演者パネルの下部に、出演者が意気込みやメッセージを書き込める部分があるのだが、彼等はこんなことを記述していて思わず笑ってしまった。

僕らが考える最強のバンド
■ Gt . AxSxE(NATSUMEN)  ■ Vo. Philip Anselmo(Down, ex-Pantera)
■ Ba. Paul McCartney      ■ Dr. Art Blakey

こんなことを書いていたのが、今年のルーキーステージの最終日の大トリを飾るマクマナマンというバンドである。一体どんなバンドなんだ?とその書き込みを見て気になった人も多いはず。彼等は、福岡県博多のプログレッシヴ・インストゥルメンタル・バンド4人組。ライヴ直前の7月25日に1stアルバム『DRUGORBASEBALL』をタイミングよくリリースし、その勢いを持ってこのルーキーステージに臨んでいる。ちなみにバンド名は、サッカー元イングランド代表のスティーブ・マクマナマンからとったのかが、個人的にはちょっと気になることであったり(本人たちに聞きそびれました)。

出演時間は真夜中の午前3時。だがそれにも関わらず、もう残り僅かのフジロックを楽しもうと彼等のステージにはたくさんの方々が集まっていた。その想いに応えるように、彼等はエネルギッシュなパフォーマンスで会場を沸かす。屋台骨を支える手数の多いドラム、なめらかな指弾きを中心に流麗な演奏を披露するベース、多彩な音色を紡ぎだしていくツイン・ギターがまるでパズルのように組み合わさり、ひとつの大きな絵をつくりあげていく。変拍子混じりの複雑な構成、しかしながらライヴでは鋭利さと猛々しさを増してより攻撃的な音が弾き出されている。何より高揚感が違う。そして、気づけばマクマナマンの宇宙が広がっている。

「苗場ではめちゃくちゃ歩いたはずなのに、彼女には逆に太った?って言われちゃいました。」と曲間でのドラムの瀬戸口のMCは、打って変わって笑いを誘っていたのは印象的だった。超絶という言葉を思わず使いたくなってしまう演奏とのギャップが非常におもしろい。しゃべらすと親しみやすい兄ちゃんたち、ってところがまた彼等に引きこまれた要因のひとつなのかなあと思ったり。滝のような汗とともに彼等に好感を抱いた人も多いだろう。

とはいえ、やっぱり演奏は改めて凄い。続いての故マイケル・ジャクソンに捧げたという”マイケル”でも卓越したテクニックで会場を暴風雨に巻き込んでいく。高まっていく集中力、放出される強力なエネルギー。そんな中で思いがけないような一体感も生まれ、音に身を任せて踊っている人たちの姿も!ラストの”超級警察”でも先の読めない複雑な構成で全編が綴られ、しなやかな演奏が恐ろしいぐらいに熱を帯びていく様に口あんぐり。まさに度肝を抜くようなパフォーマンスで、ルーキーステージの大トリという大役をマクマナマンは見事に務め上げたのであった。演奏終了後の大勢の人々からの拍手と歓声がこの舞台での成功を物語っていたはずだ。

–Setlist–
1. マンガ顔
2. マイケル
3. 超級警察


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